うたびと染矢敦子の誕生

染矢敦子Photo
うたびと染矢敦子の誕生

子供の頃から、尊敬し大好きだった祖父と祖母。
祖父は、アコーディオン、詩吟、剣舞、字がとてもキレイで、
字の練習や何かを書き留める姿をよく見ていました。
祖母は、短歌、水墨画。祖父の斜め前で短歌を書いていました。

強さと優しさ、ユーモアと凛々しさ、私が私でいられる安心の場所。
2人の間には、ペンと紙、果物、そして明るい笑顔がいつもありました。

2003年、最後に会った日、歌を聴いてもらい、手を握りあった祖父との別れ。
暗い子供時代、家の光だった愛犬もその後すぐに逝ってしまいました。

人生の終わりの日まで、自分には何をできるだろう。
祖父や愛犬にもらったもの、私は同じように誰かを励ませないだろうか、
救えないだろうか、笑顔にできないだろうか。
作る歌やコンサート、生き方も変化していきました。

2012年、突然の祖母との別れ。
その別れをきっかけに気付かされた家族の愛、絆もとても大きかったです。
それは、祖母からの最後のプレゼントのようでした。

祖母は「家族を歌う歌人」
子供の頃から、何も言わなくても不思議と心を読み、大切なメッセージをくれる祖母。

20歳ぐらいの時です。辛くて辛くて仕方なかった時、声を聞きたくて、
でも心配かけたくなくて笑いながら電話をかけました。
「あっこが誰より頑張ってること、ばあちゃんは知ってるよ」
祖母のその一言は忘れられません。

ある時、聞いてみました。
「ばあちゃんは、なんで何も言ってないのに、色んなことがわかるん?」
「ばあちゃんは、うたびとの目で見てるからね」

祖母が逝った日、私は「うたびと」として愛や絆を歌っていくことを決心しました。

祖母のように、歌を聴いてくれた人の心をふわっと温かくするような、
幸せや笑顔や勇気、できれば命を…歌で繋ぐ「うたびと」でありたいと思っています。